「先生方のおすすめの本を知りたい!」という多くの学生の皆さんからのリクエストにお応えし、シリーズ企画展示「先生の推し本」としてお茶大の先生方おすすめの本を紹介しています。
先生方には、次の3つのテーマから1つ選択して、推薦いただきました。
① 専門からの推薦図書(専門領域の基本文献、その分野に進まれるきっかけとなった図書など)
② 個人的な興味・関心からの推薦図書
(読後の印象がよかったもの、思い出に残っているもの、趣味・個人的関心に関係する図書など)
③ お茶大生に読んでほしい本(専門にかかわらず、大学生にぜひ読んでほしい推薦図書)
推薦いただいた本のリストと先生方からのコメントは、こちらのページで見ることができるほか、図書館1階スカイグローバルラーニングコモンズ には実物を展示しています。
展示している本は、手に取ってご利用になれるほか、貸出も可能です(一部貸出不可のものもあります)。
ご来館の際はぜひお立ち寄りください。
このホームページや図書館で展示をご覧になった方は、アンケートにご感想をお寄せください。
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第19回 伊村 くらら先生(理学部化学科) 2026年5月20日~2026年8月末
テーマ コロイド界面「化学」の来し方行く末 <テーマ選択①>
理学部というと自然科学の探求という色合いが強いように思われがちです。そこに興味が無い人にはとっつきにくさを与えているかもしれません。ですがそれは決して無機質なものではなく、自然や身のまわりの現象への純粋な興味関心から社会を支える基盤技術に繋がっていくきわめて人間味のある学問分野であると思っています。特に伊村の専門である「コロイド界面化学」はゲル、分子膜、微結晶と対象が多岐におよび、さらには食品や洗浄剤、色材などを通して生活に密接に関わる面を持っています。テーマカテゴリーは専門領域の文献・図書となりますが、できるだけ分野外の方にも広く手に取ってもらえるよう一般書を中心に幅広いトピックスから選んでみました。一部は伊村が担当しているLA科目「分子から見た色と香り」の中でも紹介しています。履修している方もそうでない方も、是非ともページをめくってみてください。

東京理科大学工学部第一部工業化学科を卒業後、同工学研究科工業化学専攻修士課程修了、同総合化学研究科総合化学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。日本学術振興会特別研究員(PD)、中央大学理工学部応用化学科助教などを経て、2017年お茶の水女子大学に着任。現在、お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系准教授。
専門は、コロイド・界面化学、機能性材料。
伊村先生の推し本 一覧(2026/5/20)
PDFでの一覧はこちら(新しいウインドウが開きます)です。
| 書名 / 著者等. (出版社, 刊行年月. シリーズ名) |
配架場所 請求記号 |
|---|---|
| 先生からのコメント | |
| しゃぼん玉 : その黒い膜の秘密/立花太郎著. (中央公論社, 1975.11. 自然選書 ) | 図書館オープン書庫(一般図書) 408 /Sh93c /[34] |
| 著者はお茶大名誉教授の立花太郎先生です。今は絶版となってしまっているこちらの本を企画の基軸にしようと思い、今回の推し本プレゼンターをお引き受けしました。コロイド界面化学分野の中でも、界面活性剤の作る「膜」に着目するところは伊村の現在の研究テーマにも通じています。タイトルにある「黒い膜」とは、しゃぼん玉がはじける直前に見られる「虹色」の消失した膜のことです。その正体、秘密が何であるかは是非本書で確かめてみてください。そして、その後に再びしゃぼん玉や泡膜を観察してみるときっと新しい発見や感動が得られるのではと思います。 | |
| コロイド化学史 / 北原文雄著. (サイエンティスト社, 2017.9 ) | 図書館一般図書 431 /Ki64 |
| 北原先生はコロイド化学分野の重鎮であり、伊村の出身大の名誉教授でもいらっしゃいます。(2025年にご逝去されました。)コロイド化学における「化学史」の編纂に着手され御年97歳で本書を上梓されました。はしがきは「愚者は経験を尊び 賢者は歴史に学ぶ」という言葉からはじまり、コロイド界面化学という分野は旧くも新しい発見に満ちていることを示唆する一冊です。 | |
| 雪の結晶はなぜ六角形なのか / 小林禎作著. (筑摩書房, 2013.1. ちくま学芸文庫 ; [コ39-1]) | 図書館文庫・新書 451 /Ko12 |
| 札幌で生まれ育ったため幼少期から雪の結晶は身近なものであり、寒冷地ならではのこうしたサイエンスの話題にも良く触れてきました。化学に馴染みのある人であれば、「六角形」の由来には割とすぐ辿り着くかもしれません。この本ではその先のなぜ「様々な形の結晶が作られるのか」へも話が拡がっていきます。(これらは伊村の研究分野の一つであるナノ結晶の形態制御ともよくリンクしています。)随所に挟まれた雪氷の顕微鏡写真や結晶図も大変美しいです。 | |
| 水とはなにか : ミクロに見たそのふるまい / 上平恒著 ; : 新装版. (講談社, 2009.7. ブルーバックス ; B-1646) | 図書館一般図書 435 /U32 |
| 中学生くらいの頃だったかと思いますが、実家に転がっていた本の山(今でいう積読)の中から手に取り読んでいました。当時は旧版です。水は万物のみなもとである──その多様性はいかに特殊なことなのか、水という分子の特異なふるまいと性質の追跡が本書の肝になっています。 | |
| 鉱物 : 人と文化をめぐる物語 / 堀秀道著. (筑摩書房, 2017.12. ちくま学芸文庫 ; [ホ20-1] ) . (筑摩書房, 2017.12. ちくま学芸文庫 ; [ホ20-1] ) | 図書館文庫・新書 459 /H87 |
| エッセイとしてまとめられており、専門分野を問わず読みやすい一冊です。宮沢賢治やゲーテらの鉱物学とのかかわりのエピソードに始まり、人気のある鉱石の歴史や雑学をまとめた章などが続きます。科学知識が先行するものではないので、まず鉱物そのものの形や色の美しさ、石が持つ物語に触れてみたいという人におすすめです。 | |
| チョコレートはなぜ美味しいのか / 上野聡著. (集英社, 2016.12. 集英社新書, 0860G) | 図書館一般図書 576/U45 |
| 無機物から少し離れ、油脂についての本です。食品物理学分野ですが、結晶を形作るメカニズムから機能(この場合は'美味しさ')を解き明かしていくアプローチは実は他のコロイド化学分野の研究とも共通しています。チョコレート、カカオバターはとても身近でありながら、きわめて魅力的で奥深いサイエンスを内包していると言えます。 | |
| 表面張力の物理学 : しずく、あわ、みずたま、さざなみの世界 / ドゥジェンヌ, ブロシャール-ヴィアール, ケレ共著 ; 奥村剛訳. 第2版. (吉岡書店, 2008.1. 物理学叢書 / 小谷正雄 [ほか] 編 ; 104 ) | 図書館一般図書 420.8 /B97y /[95a] |
| 学生時代に興味が湧いて購入した一冊です。展示の場では流れないかもしれませんがCDが付属しており、表面張力にまつわるさまざまな美しい現象の動画が収められています。数式は難しい!という人も是非、この本で扱われている映像や画像から自然科学の美しさに触れてもらえたらと思います。(訳者は物理学科の奥村剛先生です。) | |
| 分子間力と表面力 / J.N.イスラエルアチヴィリ著 ; 大島広行訳. 第3版. (朝倉書店, 2013.1 ) | 図書館一般図書 431 /I85 |
| 伊村の専門分野であるコロイド界面化学では必読の専門書の一つです。初版は1990年代で、この分野で学ぶ多くの人たちが触れてきた一冊です。コロイドのふるまいを支配する分子間力、表面力の概観をとらえるため、化学や物理学、生物学を橋渡しする構成となっています。他の紹介書籍に比べてサイズと厚みがあるので威圧されるかもしれませんが、複合領域的なアプローチが取られていますので導入から読み進めると世界が拓けるのではと思います。 | |
| すごいぞ!身のまわりの表面科学 : ツルツル、ピカピカ、ザラザラの不思議 / 日本表面科学会編. (講談社, 2015.10. ブルーバックス ; B-1940) | 図書館一般図書 428.4 /N71 |
| コロイド界面化学からはお隣や親戚くらいの分野にあたる表面科学です。今の時代では分野の分類について細かく言及するのはナンセンスかもしれません。表面科学、特にナノサイエンスの研究が社会に根付き育っていく過程では、様々な分野の知識が融合されています。身のまわりの物質に見られる表面(あるいは界面)を一つの足掛かりとして広い視野で社会課題を解決していこうという研究者たちの意気込みに触れることができる一冊です。 | |
| 世界史は化学でできている : 絶対に面白い化学入門 / 左巻健男著. (ダイヤモンド社, 2021.2) | 図書館一般図書 430.2 /Sa57 |
| 化学に限ったことではありませんが、どんな学問分野でも人間が関わる以上は生活や社会とどこかで交差するものと思います。どの時代の研究者にスポットをあてても、自然科学への純粋な興味に突き動かされつつ、社会の変化に苦悩する様子やそれに立ち向かっていく姿が浮かび上がってくるのではないでしょうか。化学の歴史というのは、物質をとりまく自然科学の進歩であると同時に、人々の積み上げてきた社会基盤そのものでもあります。裏を返せば、化学は社会全体に大きな影響をおよぼします。装丁もポップで読みやすい一冊ですが、科学者の社会的責任という骨太のメッセージを含んでいます。 | |
展示の様子
[ポスターはこちら]
過去のシリーズ企画展示
第1回 加藤美砂子先生 乱読のススメ
第2回 三浦徹先生 発見と行動
第3回 小谷眞男先生 わたしを ・ なした ・ 本たち(とカルタ)
第4回 松島のり子先生 原点――そこから、それから。
第5回 難波知子先生 読書嫌いの私が出会った本 〈小さいおうち〉から〈青春の終わり〉・〈お別れの始まり〉まで
第6回 浅本紀子先生 私の思い出本~大学入学してから節目の時にあった本たち~
第7回 赤松利恵先生 地球環境の視点から毎日の食生活を考える
第8回 浅田徹先生 自分の研究観を作ったのは、他の領域の本だった
第9回 福本まあや先生 ダンスを語ろう、身体を知ろう。
第10回 米田俊彦先生 辛口の本をぜひ。
第11回 井上登喜子先生 わたしを動かした本
第12回 五十嵐悠紀先生 「使いやすさ」について考えてみよう~ヒューマンコンピュータインタラクション分野への誘い~
第13回 森山新先生 ことばの学びが世界の対立を越える道をつくる
第14回 大薮海先生 学問への入り口はさまざま―私はマンガとゲームから入りました―
第15回 千葉優作先生 数学者・物理学者の人生
第16回 佐藤有理先生 トップ研究者の言葉から刺激をもらう
第17回 小玉亮子先生 面白いは無限大
第18回 平山雄大先生 【日本・ブータン国交樹立40周年】ブータンを知るための10冊

