シリーズ企画展示「先生の推し本」第9回

「先生方のおすすめの本を知りたい!」という多くの学生の皆さんからのリクエストにお応えし、シリーズ企画展示「先生の推し本」としてお茶大の先生方おすすめの本を紹介しています。

先生方には、次の3つのテーマから1つ選択して、推薦いただきました。
  ① 専門からの推薦図書(専門領域の基本文献、その分野に進まれるきっかけとなった図書など)
  ② 個人的な興味・関心からの推薦図書
  (読後の印象がよかったもの、思い出に残っているもの、趣味・個人的関心に関係する図書など)
  ③ お茶大生に読んでほしい本(専門にかかわらず、大学生にぜひ読んでほしい推薦図書)

推薦いただいた本のリストと先生方からのコメントは、こちらのページで見ることができるほか、図書館1階スカイグローバルラーニングコモンズには実物を展示しています。

展示している本は、手に取ってご利用になれるほか、貸出も可能です(一部貸出不可のものもあります)。
ご来館の際はぜひお立ち寄りください。

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第9回 福本まあや先生(文教育学部 芸術・表現行動学科) 2023年9月19日~2024年1月22日

 テーマ ダンスを語ろう、身体を知ろう。 <テーマ選択①>

自分が学部生の時から最近に至るまで、ダンス/表現/身体/その国や文化の影響、を考える中で、考え方を授けてくれた図書/資料です。 

福本先生肖像1992年、お茶の水女子大学文教育学部舞踊教育学科卒業。卒業後、舞踊活動を開始。2000年SPAC振付家コンクールにて自作『時は静かに流れた』でベスト4賞。2001年、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士前期課程修了、2009年、同博士後期課程修了、博士(学術)。
富山大学芸術文化学部准教授などを経て、2015年よりお茶の水女子大学基幹研究院人文科学系助教。
専門は、舞踊学、舞踊教育学、身体性哲学。
2020年、論文「米国ダンス教育におけるソマティクスの適用に関する一考察」で公益社団法人日本女子体育連盟JAPEW研究奨励賞を受賞。

福本先生の推し本 一覧(2023/9/19更新)

PDFでの一覧はこちらです

書名 / 著者等.
(出版社, 刊行年月. シリーズ名)
配架場所
請求記号
先生からのコメント
野口体操からだに貞 (き) く / 野口三千三著
(春秋社, 2016.3)
図書館一般図書
498.3/N93
私は舞踏グループ山海塾の夏合宿を経て、学部3年秋に本学の舞踊資料室で本書(1977年初版の単行本)に出会いました。自分探しの闇に迷い込んだ時に多くの示唆を得ました。元気が出ます。『原初生命体としての身体』より読みやすい。
原初生命体としての人間 : 野口体操の理論 / 野口三千三著
(岩波書店, 2003.6. 岩波現代文庫 ; 社会 ; 80)
図書館一般図書
498.3/N93
戦後に東京藝大で体育の教員だった著者が、自らの身体教育思想を綴った最初の著書です。戦後の前衛芸術の礎となった画期的な身体観が分かります。著者の体操教室に通っていた学部4年の私は本書(1972年初版の単行本)の論理的飛躍や暗喩の多さに苦しみ自らの読解力の無さに絶望しました。それでも心に響くフレーズは満載です。
重力との対話 : 記憶の海辺から山海塾の舞踏へ / 天児牛大著
(岩波書店, 2015.3)
図書館一般図書
769/A42
野口体操を基礎訓練に取り入れている舞踏グループ山海塾の主宰者の著書です。彼らの考える舞踊、その身体と時空間へのまなざしが見えてきます。
演出についての覚え書き : 舞台に生命を吹き込むために / フランク・ハウザー, ラッセル・ライシ著 ; シカ・マッケンジー訳
(フィルムアート社, 2011.6)
図書館一般図書
771/H45
演劇の演出についての覚え書きですが、もちろん舞踊創作/演出法についても通じる内容です。一般の会社や団体等、集団で何かを成し遂げようとする時の心得にもなると思います。
身体論 : 東洋的心身論と現代
(講談社, 1990.6. 講談社学術文庫)
図書館一般図書
114/Y96
身体論の王道的図書の一つ。気とか修行とか、何が東洋的なのかが見えてきます。ただし神経科学的に多少古い部分もあるので巻末のトマス・P・カスリスによる解説まで良く読みましょう。
芸術立国論 / 平田オリザ著
(集英社, 2001.10. 集英社新書 ; 0112F)
図書館一般図書
701/H68
「芸術によるコミュニケーション教育推進事業」の発端が分かる書籍。著者は演劇の演出家ですが、ダンスにも通じる内容が多くあります。芸術が何故社会に必要か?ダンスが何になる?という批判を受けた時に反論できるようになります。
世界のダンス : 民族の踊り、その歴史と文化 / ジェラルド・ジョナス著 ; 田中祥子, 山口順子訳
(大修館書店, 2000.4)
図書館一般図書
769/J71
西洋の劇場舞踊に偏らずに、舞踊と社会の関わりを世界各国の舞踊を事例として紹介しています。写真が沢山で見るだけで楽しいのですが、大型で重たいのが難点。
動きの教育 / Lulu E.Sweigard著 ; 村井孝子 [ほか] 訳
(杏林書院, 1981.10)
図書館オープン書庫(一般図書)
780.19/Sw4
原題は『Ideokinesis』。『The Thinking Body』の著者の弟子が、イメージが動きに及ぼす影響を実験実証的に示し、イデオキネシスとして体系づけて紹介した書籍。実証したが為に現象学的な学びを重視するソマティック教育からの批判もありますが、一人称のイメージ語を用いた姿勢や動きの指導法など分かりやすい解説があります。
The thinking body : a study of the balancing forces of dynamic man / by Mabel E. Todd ; foreword by E.G. Brackett
(Princeton Book, [pref. 1968])
図書館オープン書庫(一般図書)
469/To17
1937年初版の古典でありながら、再版・翻訳され、今も世界の舞踊家たちに読まれている本。身体の賢さ、そしてそれに賢くアプローチする方法が述べられています。
Dance words / compiled by Valerie Preston-Dunlop
(Harwood Academic Publishers, c1995)
図書館一般図書
769/C53/8
動作分析法の大家R.ラバンの直弟子でイギリスの舞踊学者の著者が集めた舞踊用語集。舞踊の行為や表象を、言葉で説明することの難しさと、言葉にすることに挑んできた人々の努力の軌跡が存分に分かる本。
Contact Quarterly : dance & improvisation journal
(Contact Collaborations, 1975-)
コンテンポラリーダンスに多大な影響を与えているコンタクト・インプロヴィゼーションというダンスの即興形式、その普及に大きな役割を果たした定期刊行物です。1975年にニュースレターとして出発し1977年からクオタリィ誌に。修士・博士の論文での主要参考資料でした。ソマティクス、記譜法、武道、演劇、、、舞踊家らが何に関心を持ち、どんな問題に突き当りそして解決したきたかが見えてきます。

* 図書館では所蔵していないため、先生個人のバックナンバーを展示します(貸出不可)。また、CQのHPで雑誌の紹介や全巻の目次を見ることができます。
Contact Quaterly's contact improvisation source book : collected writings and graphics form Contact Quaterly dance journal 1975-1992(新しいウインドウが開きます)
(Contact Editions, 1997)
図書館一般図書
769/C86/1
コンタクト・インプロヴィゼーションの創始25周年記念として編纂されたクオタリィ誌の主要記事を集めた刊行物。CI研究必携書『Sharing the Dance』(1990)の著者S.ノヴァックによるCQ記事リストが元になっています。

* 図書館では『Sharing the Dance』の邦訳(新しいウインドウが開きます)を所蔵しています。


福本先生(2023/9/25)
oshihon9_withfukumoto

展示の様子
展示の様子2   展示の様子1

[ポスターはこちら]

過去のシリーズ企画展示

第1回 加藤美砂子先生 乱読のススメ
第2回 三浦徹先生   発見と行動
第3回 小谷眞男先生  わたしを ・ なした ・ 本たち(とカルタ)
第4回 松島のり子先生  原点――そこから、それから。
第5回 難波知子先生  読書嫌いの私が出会った本 〈小さいおうち〉から〈青春の終わり〉・〈お別れの始まり〉まで
第6回 浅本紀子先生  私の思い出本~大学入学してから節目の時にあった本たち~
第7回 赤松利恵先生  地球環境の視点から毎日の食生活を考える
第8回 浅田徹先生   自分の研究観を作ったのは、他の領域の本だった