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企画展示


シリーズ企画展示「先生の推し本」

「先生方のおすすめの本を知りたい!」という多くの学生の皆さんからのリクエストにお応えし、シリーズ企画展示「先生の推し本」としてお茶大の先生方おすすめの本を紹介しています。


先生方には、次の3つのテーマから1つ選択して、推薦いただきました。
  ① 専門からの推薦図書(専門領域の基本文献、その分野に進まれるきっかけとなった図書など)
  ② 個人的な興味・関心からの推薦図書
  (読後の印象がよかったもの、思い出に残っているもの、趣味・個人的関心に関係する図書など)
  ③ お茶大生に読んでほしい本(専門にかかわらず、大学生にぜひ読んでほしい推薦図書)


推薦いただいた本のリストと先生方からのコメントは、こちらのページで見ることができるほか、図書館1階グローバルラーニングコモンズには実物を展示しています。

展示している本は、手に取ってご利用になれるほか、貸出も可能です(一部貸出不可のものもあります)。
ご来館の際はぜひお立ち寄りください。




 第3回 小谷眞男先生(生活科学部人間生活学科・生活社会科学講座) 
     2022年1月13日~5月19日

 わたしを ・ なした ・ 本たち(とカルタ) <テーマ選択②>

「推し本」とのことだからテーマは「②個人的な興味・関心からの推薦図書」を迷わず選択し、思いつくまま候補を挙げ始めたら際限がなくなってきた。何の選択基準もなく直観で10点に絞ったら以下のような結果となった。あらためて眺めてみると『東洋の理想』も『いのちの初夜』も、あれもこれも欠けているではないか。もう一回同じ作業をしたら全然違うリストになるかもしれない(笑)。しょせん人生とは思わぬ方向に転がっていくパラレルワールドみたいなものだとあらためて思う。


小谷先生

1963年生まれ。1986年、東京大学経済学部卒業。1989年、東京大学大学院総合文化研究科相関社会科学専門課程修士課程修了(学術修士)。
東京大学社会科学研究所助手(法律系。1992年からナポリ大学に留学)、東京外国語大学外国語学部非常勤講師などを経て、1998年、お茶の水女子大学生活科学部生活社会科学講座助教授に着任。
現在、お茶の水女子大学基幹研究院人間科学系教授。
専門は、イタリア法文化史、法学教育、社会福祉、ろう文化。

(肖像は小谷ゼミ卒業記念カルタより)



 小谷先生の推し本 一覧(2022/1/13更新)

PDFでの一覧は こちらです

書名 / 著者等.
(出版社, 刊行年月. シリーズ名)
配架場所
請求記号
先生からのコメント
素敵な仕事 / デイヴィッド・ロッジ著 ; 高儀進訳.
(大和書房, 1991.10)
933/L81
図書館オープン書庫(一般図書)
大学人が気晴らしに小説でもと思うなら、D.ロッジのキャンパス・ノベル3部作『交換教授』『小さな世界』『素敵な仕事』を手に取るに如くはない。あえて一冊選ぶとすれば本書ということになるが、3部作を通して大学教員という滑稽な人種とその nice work が辛辣極まりない風刺にさらされ、たとえば「テニュア審査」をめぐる英米間の(ついでに日本との)あまりの落差に抱腹絶倒させられる。さらなる続編『ベイツ教授の受難』も、ある個人的事情により忘れがたい作品である。
夢判断 / [フロイト著] ; 高橋義孝訳.
(人文書院, 1968. (フロイト著作集 / 井村恒郎 [ほか] 編))
140.8/F46j/2
図書館オープン書庫(一般図書)
高校生のころ新潮文庫版上・下二冊を夢中になって読み耽り、毎日「夢日記」をつけていた(何か人生の岐路に立たされたときは、見た夢の記録を自分で解釈して方針を決めていた)。
無関係 / 河野多惠子著.
(所収: 河野多惠子全集第7巻. (新潮社, 1995.5))
918/Ko76/7
図書館一般図書
吉祥寺の古書店で装丁が綺麗だったので何気なく手に取ったこの本(中央公論社刊の単行本)でなぜか河野多恵子がすっかり気に入り、のちに全集まで揃えて全部読んでみたがやっぱり一番はこれ。なぜこの小説がそんなに好きなのか今だにわからない。
時間の比較社会学 / 真木悠介著.
(岩波書店, 1997.11. (同時代ライブラリー))
080/D83/325
図書館一般図書
私の学生生活は、1982年4月に入学すると同時に遭遇した本書(1981年11月刊行の単行本)によって決定的に方向づけられることになった。その意味で青春の一冊である。
ダブリンの市民 / ジョイス作 ; 結城英雄訳.
(岩波書店, 2004.2. (岩波文庫))
933/J85
図書館文庫・新書
卒論で『ユリシーズ』を選んだ母はアイルランドに行くのが生涯の夢だったが、病気のため、ついに日本から一歩も出ることなくこの世を去った。私自身は本書でジョイスに感服し、本学のサバティカルで1年間イタリアに滞在した際に母に代わってダブリンを訪れ、ジョイスの足跡を辿った。ついでにトリニティカレッジの学生シアターで観たベケットの「ゴドー」は(一言もセリフはわからなかったが)素晴らしかった。その夜はもちろんギネスでアイルランドに乾杯。
子どものからだとことば / 竹内敏晴著.
(晶文社, 1983.9. (犀の本))
371.45/Ta67
図書館オープン書庫(一般図書)
学部生時代の前半はもっぱら大塚・小石川エリアで子ども会活動(氷川下セツルメント)に精を出していた。子どものからだは私にとって無意識のことばのようなもの。ちょうどそのころ出会った本書に心奪われ、勢いで同じ著者が書いたものは『ことばが劈かれるとき』をはじめ、ほとんど全部読み尽くした。あとでご本人に実際に会ったら、割に普通のおじさんだった。
幻聴妄想かるた / ハーモニー編著.
(医学書院, 2011.11)
369.2/H26
図書館地下書庫(館内利用)
不可思議な、あまりに不可思議な、統合失調症の世界を知るきっかけとなったカルタ。学生を連れてハーモニー(就労継続支援[自称「なんちゃって」]B型事業所)に押しかけ、統合失調の人たちと一緒にカルタで遊び、ついには自分たちでもカルタを作ったりした。ある年の卒業生たちは、「小谷ゼミ卒業記念カルタ」を作って贈ってくれた。

* かるたは他に、超・幻聴妄想かるた (やっとこ, 2018.6)、新・幻聴妄想かるた(入手不可)があります。
ツァラトゥストラはこう言った / ニーチェ著 ; 氷上英廣訳.
(岩波書店, 1967. (岩波文庫))
134/N71/1-2
図書館文庫・新書
研究所助手時代の2年間にわたるイタリア留学中の夏休みにドイツに出かけた。着いてすぐにハンブルグで購入したレクラム版原文と照らし合わせつつ氷上英廣訳でツァラトゥストラを読み継ぎながらドイツ中を回った。本から顔を上げて現実のドイツ人を見たら、ニーチェの揶揄した通りの人たちが目の前にいて何だか可笑しかった。
現代思想1996年4月臨時増刊号 総特集=ろう文化 - 青土社.
(青土社, 1996)
図書館雑誌書庫1~3(一般雑誌) 同じく研究所助手時代、所内のサークルで漫然と手話を学んでいた私に、この『現代思想』臨時増刊号「総特集・ろう文化」は「眼からウロコ」的な衝撃を与えた。後年のLA演習「手話学入門」開設に至る原点。

* 実際の展示では、臨時増刊号「総特集・ろう文化」の内容を踏襲したろう文化 / 現代思想編集部編. (青土社, 2000.4)を紹介します。
蒼氓 / 石川達三著.
(所収: 石川達三作品集第1巻. (新潮社, 1972)
913.6/I76s/1
図書館オープン書庫(一般図書)
学会参加と協定校開拓の目的でブラジルに出張した際、アマゾン(森林のほうじゃなくて)で買い求めておいた秋田魁新報社刊の単行本を機内で読んだ。神戸を出航し、インド洋をわたり、喜望峰を経由して南米大陸へ至る航海の描写は壮絶の一語。そして、戦前のブラジルやハワイへの移民が「棄民政策」という一面を持っていたことがよくわかる。第1回芥川賞受賞作。


展示の様子

展示の様子 左 展示の様子 右


小谷先生(2022/1/14)

小谷先生来館1


[ポスターは こちらです]


展示についてのQ&A

質問(アンケートより)
(『幻聴妄想かるた』について)このかるたはどこかで購入できるでしょうか?
また、どんなところで、どのように使用されているのでしょうか?

小谷先生からの回答
このカルタは、就労継続支援「なんちゃって」B型事業所「ハーモニー」(世田谷区に実在する作業所です。妄想ではありません)に申し込めば購入できます。人気が出すぎちゃって品薄というウワサもありますが...。
使用法ですが、なにしろカルタなのでひたすら「遊ぶ」。カルタの性質上、読み手以外に最低2人以上必要ですけど。 ハーモニーに行けば、実際にこれを作った統合失調の人たちと一緒に遊べますが、別に友だちとカルタ取りっこしてもいいし、クラスで大会開いてもいいですね。 全国各地で多くの人たちが思い思いのやり方でカルタ遊びをしています。それだけでいい。もちろん小谷ゼミでも随時カルタ大会やってます(もっともここのところコロナのせいでやってませんが...)。
「正」「超」「新」と3ステージ制覇したら、あなたも立派な「幻聴妄想名人」 です。
(2022/2/8追記)



第4回は松島のり子先生(文教育学部)を予定しています。お楽しみに。

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過去のシリーズ企画展示

第1回 加藤美砂子先生 乱読のススメ

第2回 三浦徹先生   発見と行動



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