「先生方のおすすめの本を知りたい!」という多くの学生の皆さんからのリクエストにお応えし、シリーズ企画展示「先生の推し本」としてお茶大の先生方おすすめの本を紹介しています。
先生方には、次の3つのテーマから1つ選択して、推薦いただきました。
① 専門からの推薦図書(専門領域の基本文献、その分野に進まれるきっかけとなった図書など)
② 個人的な興味・関心からの推薦図書
(読後の印象がよかったもの、思い出に残っているもの、趣味・個人的関心に関係する図書など)
③ お茶大生に読んでほしい本(専門にかかわらず、大学生にぜひ読んでほしい推薦図書)
推薦いただいた本のリストと先生方からのコメントは、こちらのページで見ることができるほか、図書館1階西ゲート前には実物を展示しています。
※7月16日より、展示場所が「図書館1階スカイグローバルラーニングコモンズ」から「図書館1階西ゲート前」に変更になりました。
展示している本は、手に取ってご利用になれるほか、貸出も可能です(一部貸出不可のものもあります)。
ご来館の際はぜひお立ち寄りください。
このホームページや図書館で展示をご覧になった方は、アンケートにご感想をお寄せください。
アンケートはこちらからお願いします。
第16回 佐藤有理先生(共創工学部文化情報工学科) 2025年9月16日~11月末
テーマ トップ研究者の言葉から刺激をもらう <テーマ選択③>
研究をするには英語論文を読みますが、研究の楽しさや考え方を知るには研究者個人の視点からの自伝や手記を読むのも良いでしょう。世界第一線の本物の研究者が本気で歩んだストーリーを、学際を標榜している共創工学の名にかけて(!?)いろいろな分野から集めました。読むともっと本気で物事に取り組みたくなるのでは、と期待しています。
慶應義塾大学文学部卒業、慶應義塾大学大学院文学研究科博士前期課程修了、同後期課程単位取得退学、博士(哲学)。
ブライトン大学計算・工学・数学部リサーチフェローなどを経て、2023年よりお茶の水女子大学基幹研究院人文科学系助教。主に共創工学部及び大学院共創工学専攻、兼担で文教育学部及び大学院比較社会文化学専攻 、文理融合AI・データサイエンスセンター。
専門は、認知科学。
佐藤先生の推し本 一覧(2025/9/16更新)
PDFでの一覧はこちらです。
書名 / 著者等. (出版社, 刊行年月. シリーズ名) |
配架場所 請求記号 |
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先生からのコメント | |||
学者人生のモデル / ハーバート・A・サイモン著 ; 安西祐一郎, 安西徳子訳. (岩波書店, 1998.1.) |
図書館一般図書 289.3 /Si6 |
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"世界は国際的で学際的な科学者を必要とする" 【経営学・認知科学・人工知能】 Herbert A. Simon (1916-2001, 1975年チューリング賞, 1978年ノーベル経済学賞) の本格的な自伝。翻訳が安西先生というのも胸熱。 | |||
独創はひらめかない : 「素人発想、玄人実行」の法則 / 金出武雄著. (日本経済新聞出版社, 2012.11.) |
図書館一般図書 141.5 /Ka43 |
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競争の世界で勝ちきるためにできること 【コンピュータビジョン・ロボット工学】 Takeo Kanade (1945- ) の切れ味鋭い問題解決術が 収められたエッセイ集。 | |||
ディープラーニング学習する機械 : ヤン・ルカン、人工知能を語る / Yann LeCun著 ; 小川浩一訳. (講談社, 2021.10.) | 図書館一般図書 548.1 /L49 |
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ありそうでなかった血の通った技術史本 【計算機科学・人工知能】 Yann LeCun (1960-, 2018年チューリング賞、畳み込みニューラルネットCNNの開発者として知られる) による個人研究史/分野発展史。 | |||
右脳と左脳を見つけた男 : 認知神経科学の父、脳と人生を語る / マイケル・S・ガザニガ著 ; 小野木明恵訳. (青土社, 2016.3.) | 図書館一般図書 491.3 /G29 |
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科学者が孤高な存在だと思ったら大間違い 【認知神経科学】 Michael S. Gazzaniga (1939- ) による半生の回顧録。心と脳の問題に対して、実に様々な分野の研究者との対話を重視して挑んできたかがわかる。 | |||
アマルティア・セン回顧録 / アマルティア・セン著 ; 東郷えりか訳. 上-下. (勁草書房, 2022.12.) | 図書館一般図書 289.2 /Se56 /1-2 |
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"人類に与えられた最高の、最も尊い才能が、特定の人種や国の独占であるはずがない" 【厚生経済学】 Amartya Sen (1933-, 1998年ノーベル経済学賞) の本格的な自伝。上はセンを突き動かした同郷の詩人タゴールの言葉。留学の話も印象深い。 | |||
関連 資料 |
ギーターンジャリ / ラビンドラナート・タゴール著 ; 内山眞理子訳. (未知谷, 2019.11.) |
図書館一般図書 929/Ta18 |
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行動経済学の逆襲 / リチャード・セイラー 著 ; 遠藤真美訳. 上-下. (早川書房, 2019.10. ハヤカワ文庫) | 図書館一般図書 331 /Th1 /1-2 |
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大先生たちのすべてが正しいとは限らない... 【行動経済学】 Richard Thaler (1945-, 2017年ノーベル経済学賞) による個人研究史/分野発展史。エビデンスを積み上げ主流派と戦い続けた(とはいえコミカル)話。 | |||
植物を考える : ハーバード教授とシロイヌナズナの365日 / ニコラス・ハーバード著 ; 塚谷裕一, 南澤直子訳. (八坂書房, 2009.2.) | 図書館一般図書 471.3 /H32 |
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世にも珍しい研究者の日記 【植物遺伝学】 Nicholas Harberd (1956- ) による研究者の公的・私的日常を描いた日記。飾られていない鬱々とした語り口が印象的。 | |||
ネアンデルタール人は私たちと交配した / スヴァンテ・ペーボ 著 ; 野中香方子訳 . (文藝春秋, 2015.6.) | 図書館一般図書 469 /P11 |
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同じくらい好きな2つの分野、どちらの道か悩んだ末に... 【進化遺伝学】 Svante Pääbo(1955-, 2022年ノーベル生理学・医学賞) による一連の古代DNA研究の回顧録。ポピュラーサイエンスとしても面白い。 | |||
精神と物質 : 分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか / 立花隆, 利根川進著. (文芸春秋, 1993.10. 文春文庫) | 図書館一般図書 464 /Ta13 |
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研究者名言の宝庫、利根川節がうなる 【分子生物学】 Susumu Tonegawa (1939-, 1987年ノーベル生理学・医学賞) へのジャーナリスト立花隆によるインタビューで構成されていて、独特の高揚感がある。 | |||
小さな小さなクローディン発見物語 : 若い研究者へ遺すメッセージ / 月田承一郎著. (羊土社, 2006.2.) | 図書館一般図書 289.1 /Ts64 |
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涙なしには読めない 【細胞生物学】 Shoichiro Thukita(1953-2005) による回顧録。若くして亡くなった月田先生が遺した言葉は、もっとがんばらねばという気持ちにさせてくれる。 | |||
CRISPR (クリスパー) 究極の遺伝子編集技術の発見 / ジェニファー・ダウドナ, サミュエル・スターンバーグ著 ; 櫻井祐子訳. (文藝春秋, 2017.10.) | 図書館一般図書 467 /D89 |
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"ものごとをつきとめることの喜び" とその先へ 【生化学】 Jennifer Doudna (1964-, 2020年ノーベル化学賞) の回顧録。上のファインマンの名言に表れる真っ直ぐな活動と社会的なELSI議論への参加活動について。 | |||
関連 資料 |
「困ります、ファインマンさん」 / リチャード・P.ファインマン著 ; 大貫昌子訳. (岩波書店, 1988.7.) | 図書館オープン書庫(一般図書) 289.3 /F23 |
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野原の奥、科学の先。 : 遠藤守信のクリエイティブ・スピリッツ / 遠藤守信著. (文屋, 2004.7. 文屋文庫, 第4巻) | 図書館一般図書 404 /E59 |
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"Never, never, never, never, and never give up!" 【ナノ材料工学】 Morinobu Endo (1946-, カーボンナノチューブの開発で知られる) による自伝的内容の本。高校での講演がもとになっていることもあり、啓発的。 | |||
好きなことに、バカになる / 細野秀雄著. (サンマーク出版, 2010.3.) | 図書館一般図書 501 /H95 |
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"all or something" であがく 【無機材料工学】 Hideo Hosono (1953-, セメント金属や鉄系超伝導の研究で知られる) の研究エッセイ。逆説的な言い方が少し目立つが説得力のあるメッセージが並ぶ。 |
佐藤先生(2025/9/16)
展示の様子
[ポスターはこちら]
過去のシリーズ企画展示
第1回 加藤美砂子先生 乱読のススメ
第2回 三浦徹先生 発見と行動
第3回 小谷眞男先生 わたしを ・ なした ・ 本たち(とカルタ)
第4回 松島のり子先生 原点――そこから、それから。
第5回 難波知子先生 読書嫌いの私が出会った本 〈小さいおうち〉から〈青春の終わり〉・〈お別れの始まり〉まで
第6回 浅本紀子先生 私の思い出本~大学入学してから節目の時にあった本たち~
第7回 赤松利恵先生 地球環境の視点から毎日の食生活を考える
第8回 浅田徹先生 自分の研究観を作ったのは、他の領域の本だった
第9回 福本まあや先生 ダンスを語ろう、身体を知ろう。
第10回 米田俊彦先生 辛口の本をぜひ。
第11回 井上登喜子先生 わたしを動かした本
第12回 五十嵐悠紀先生 「使いやすさ」について考えてみよう~ヒューマンコンピュータインタラクション分野への誘い~
第13回 森山新先生 ことばの学びが世界の対立を越える道をつくる
第14回 大薮海先生 学問への入り口はさまざま―私はマンガとゲームから入りました―
第15回 千葉優作先生 数学者・物理学者の人生